
いよいよこの芝居の眼目、ラストシーンの抜き稽古。ここは兎にも角にも下人がキーパーソンです。彼がいかにして新しい生き様に目覚めるか。身も心も晴れ晴れと生まれ変わる事ができるか。女も過去も自らの身の上も超越できるか。時間にして10分ほどのこの場面を、朝から晩まで一日中、小返しに次ぐ小返し。直せども直せども、歩みの鈍い亀さながら。一歩進んでは二歩下がり、三歩進んでは五歩下がるという有様で、終いにD口は酸欠に陥るは、U原は転んでアザだらけの足の裏のトゲを抜きはじめるは、M呂は体育座りして熟睡に陥るは。もう訳が分かりません。
奇妙な静寂に違和感を感じてふと傍らを眺めやると、最前までミキサーを操作していたS谷までが居眠りしています。おい、これじゃ誰が音響の操作するんだよ。

