今年から公式大会になった春フェスですが、ちょっと自由劇場まで出かけて覗いてきました。お目当ては川之江高校さんの「花柄マリー」。
評判は色々うかがっていたのですが、噂に違わず凄まじい出来映え。話の内容もさることながら、キャスト・スタッフの力量に並々ならぬものがありました。特に演技面でのスキルといったら。堂々とした発声。豊かな表情。絶妙な間の取り方。考え抜かれた動き。まるでたった今考えて言葉に紡ぎ出されたかのような新鮮な台詞廻し。全国区の実力をまざまざと見せつけられた思いで、圧倒されて帰途につきました。
越智作品らしく、具体的な事件は何一つ起きません。でありながら、主人公がドンドン抜き差しならぬ状況に追い込まれていく物語です。「花のような人柄」の彼女が自らの良心に背を向けて、卑怯者に成り下がらざるを得なくなる状況に。彼女が節を曲げず自分の生き方を貫き続ければ、絶望的な孤立だけが待っている。守ってくれる人もいなくて、友情なんか何の役にも立たない状況にです。最後に残った友人も、主人公より自分の保身を選びます。そして云います。貴方もきっと私のように自分を押し殺し、妥協し、保身を第一に考えるようになってしまうのだと。その友人はこうも云います。「貴方にはそうなって欲しくないと思ってる」と。そして二人は泣くのです。
「ホット・チョコレート」の暖かい涙に比べて、何と苦い涙でしょうか。「七人の部長」の心温まる和解と相互理解に比べて、まるで救いがありません。相手の立場を思いやって流す涙が、こうも苦いものであり得るとは、何と残酷なことでしょうか。
この後どうなるんだろう?自分ならどうするだろう?ずしっと重たい問いを投げかけられてしまいました。
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