
今春まで秩父農工科学高校顧問だったW林先生をお招きして、稽古を診ていただきました。先生は現在、「W林医院」と銘打って埼玉の演劇部の「往診」をされておられます。数々の伝説の舞台を創られた先生の演出を垣間見ようと、そしてあわよくば、その「技」の幾ばくかでも盗ませていただこうと企画した特別稽古です。午前10時に愛車で登場した先生は、とても自然体で、とても颯爽としていて、実に格好良いお姿でした。緊張気味だった部員達も、先生の魅力にたちまち引き込まれてしまいます。早速始まった稽古では駄目出しが矢継ぎ早に飛び出し、台詞回しから動きから、あれよあれよという間にガンガン直されてゆきます。いやその見事なこと。

驚いたのは先生の反射神経の良さ、豊かなイメージ、演出の引き出しの多さ、分かりやすい指示、褒め方の気持ちよさ、エネルギッシュでハイテンションなフットワーク。見飽きていた我々の芝居が、見る見る内に別物のように作り直されてゆきます。そして演出の中心には常に、芝居に対する確固としたポリシーが存在しています。それを惜しげもなく披露される気前良さ。「全部見せるから盗めるだけ盗め」と言わんばかりです(実際そう仰っておられました)。無茶苦茶ハードで密度が高い稽古なのに、部員達の楽しそうな様子には、軽く嫉妬さえ覚えます。M呂なんか1時間で見違えるように上達しましたし。
丸1日ご指導下さって、来た時同様、颯爽と帰って行かれました。うーん、脱帽。
その後ちょこっと先生の真似して稽古してみたんですが、いやとてもとても。まだまだ足元にも及ばない顧問なのでした。

